「家族」と「食べる」を考える

タベル マガジン

「家族」と「食べる」を考える

タベル マガジンとは?

囲って、向き合って、楽しんで。
家族が笑顔で集まる場所「テーブル」で
美味しいお料理を「タベル」。
この日常の風景をもっと豊かにできるよう、
家族と食についての情報をまとめた
ウェブマガジンです。

孤独に見えたかもしれないけれど...幸せな時間

「果物など、季節のおいしいものをおすそわけしていただくことも多かったです。男の一人暮らしで、食で季節を感じることなんかなかったんですけれど、やはりいいものですね。小さいころ、節分やゆず湯など、親が季節の行事をしてくれていたことを思い出したりもしました」

日々のあいさつやおいしいもののおすそわけや、困ったときの助け合い、ちょっと特別な食事。なにげない日々の積み重ねで育まれた、『大家さんと僕』のエピソードに、新しい家族のカタチを感じる人も少なくないようです。

大家さんは矢部さんにとって家族のような存在?と問うてみると、

「"家族"とはまた違う存在のような気がします。でも、一つ言えるのは、他の人から見たら、僕も大家さんも、一人暮らしで孤独だと思われているかもしれないけれど、それはさみしくて不幸せってことではない、というか......。
大家さんからいただいたものを食べているときって、部屋に一人でいても一人ではないような気がして。僕にとっては、大家さんと過ごした時間はとても幸せなものでした。大家さんと出会って感じた、暮らしのいろんなところに幸せがあるっていうことが、少しでも読んでくれた人に伝わったらいいな、って思っています」

誰かと食卓を囲む時間のチカラを改めて感じます

大家さんと過ごした、思い出深い日々。ご近所のかたとも仲よくなり、すっかりお茶飲み友達も増えたそうです。

「今度、ご近所さんと食事に行くんですよ。大家さんも好きだったホテルの中の中華料理のお店なんです。それが今から楽しみで。
大家さんと食事に行くときもそうでしたが、『明日は誰かと食事だ!』と思うと、前日からなんだかウキウキしちゃうし、食事のあと家に戻ってからも、今日のことを振り返ってニコニコしちゃったりして。食事って、一緒に過ごす時間だけじゃなく、その前後まで彩ってくれるものだな、って思います。だから、誰かと食卓を囲むことは大切にしていきたいですね」

大家さんと出会って広がった、新しい輪。そして食卓を囲むことでさらに育まれる絆。そのあたたかさをもう一度見直してみたい、と思わせてくれますね。

撮影/千葉 充、取材・文/浦上藍子

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