「家族」と「食べる」を考える

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「家族」と「食べる」を考える

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みなさんにとって秋はどんな季節ですか? 秋といえば"食欲"、そして"読書"のシーズンでもありますよね。そこで今回は子どもも大人も思わずおなかがすいちゃう、おいしそうな絵本をご紹介! 絵本・児童書の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんにオススメをうかがいました。

"食べる"が、絵本の世界と現実をつなげてくれる

読書の秋に親子で楽しめる絵本をご紹介しようという今回の企画、食欲の秋でもあるので、タベルらしく"おなかがすいちゃう絵本"を取り上げることに。 日本最大級の絵本ポータルサイト「絵本ナビ」編集長、磯崎園子さんによれば「食べ物は、絵本の中でも一番の人気テーマ」なんだそう。

「絵本で読んだことを実際に経験したり、逆に生活の中で起こったことに絵本で出会ったり......。そんな絵本と現実の行ったり来たりが、子どもの想像力を育みます。"食べる"ことは毎日の行為。食べ物や食事シーンは、この体験をスムーズにしてくれるんです」

そして、食べることには"友だちとのケンカ"のような複雑さがありません。

「食事のときはみんな幸せ。食べるって絶対的な行為なんですよね。だから、食べ物が登場すると絵本の世界に入り込めるし、記憶として残りやすいんです」

みなさんも、思い出に残る絵本の食事シーンがあるのでは? ちなみに今回はテーマそのものが食べ物の絵本を厳選。0~6歳までの年齢別に、オススメ作品を紹介していただきます。では、5~6歳向けから、順番に見ていきましょう!

『おすしのずかん』

作:大森裕子/出版社:白泉社/「絵本ナビ」的オススメ年齢:5~6歳

回転寿司やファミレスなど食べられるお店が増えたことで、以前よりも身近になったお寿司。磯崎さんいわく「最近の子どもはハンバーグと並ぶくらい、お寿司が大好き」とか。

この絵本は、そんなお寿司の図鑑! 「あかいおすし」「しろいおすし」と、さまざまなお寿司が載っています。赤身のツヤ、大トロの脂、漬けのしっとり感......と、つい手が伸びそうになる描写ばかり。親子で食べたいお寿司を選んでいると、あっという間に時間が過ぎそう。

そして、次のページには、ネタのもととなる魚たちがドーン! 「お寿司は好きでも、魚の姿まで想像できる子は少ないのでは? 『しろいおすし』の『のどぐろ』『ひらまさ』などは、大人でもわからない方が多いはず」と磯崎さん。食育にも重宝しそうな1冊です。

『きょうのごはん』

作:加藤休ミ/出版社:偕成社/「絵本ナビ」的オススメ年齢:5~6歳

夕暮れ時に道を歩いていたら、あちこちの家から夕食を作る音や香りがしてきて、おなかが空いた......なんて記憶、ありませんか? この絵本では、塀の上を歩く猫の目線で家々の夕ご飯をのぞいていきます。

ページをめくると、そこには昭和の香り漂う商店街や住宅が......。そう、親世代が懐かしさを感じられるのも、この絵本の魅力なんです。

「クレヨン&クレパスで描かれた絵から、匂いや温度まで伝わってきて、温かくて幸せな気持ちになれる絵本です」

各家の食卓は、サンマの塩焼きあり、手作りコロッケあり、パパが腕を振るったオムライスありと、昭和世代の身近な献立が勢ぞろい! ご家庭の食卓との違いを見つけて親子で話し合ったり、パパ・ママの思い出話を聞かせてあげるのも楽しそうです。

『あっちゃんあがつくたべものあいうえお』

作:さいとう しのぶ 原案:みね よう/出版社:リーブル/「絵本ナビ」的オススメ年齢:3~5歳

「食べ物をおいしそうに、そして可愛く描ける人と言ったらこの方! 中でもこれは傑作」と磯崎さんが太鼓判を押すのが、こちら。あいうえお順に「あっちゃん」から「ばっちゃん」「ぺっちゃん」などの濁音・半濁音まで、69音分の食べ物を紹介。言葉遊びのリズムと、擬人化されているのにおいしそうな食べ物のイラストを同時に楽しめる1冊です。

エビフライのページからは揚げたての香りが漂ってきそうで、カステラもこんな感じでふっくら&しっとりとした食感が想像できちゃいます。

「それぞれの絵に物語性があって、お互いにつながっているところもあるんですよ。どのページを眺めていても飽きないのは、食べ物のパワーですよね」

また、磯崎さんが「この本が気に入った子は、フレーズも覚えちゃうと思います」と言うように、楽しみながら"あいうえお"を覚えるのにぴったり。実際「子どもが無理なくひらがなを覚えるのに役立った!」という反響も寄せられているとか。学ぼうと意気込まずに「あいうえお」を習得できてしまうのも、きっと"おいしそう"のチカラ!

『スープになりました』

作:彦坂有紀・もりといずみ/出版社:講談社/「絵本ナビ」的オススメ年齢:3~4歳

「子どものころ、ファミレスに行くと必ずコーンスープを注文していた」という磯崎さん。この絵本には、コーンスープをはじめさまざまなスープの材料になる野菜と、できあがったスープが描かれています。

みずみずしい野菜のページをめくると、スープが登場。ジャガイモのスープはとろんとろん、トマトのスープはさらさら......と、どのスープも舌触りが感じられるほどの描写力! 普段はメインディッシュではないスープですが、子どもたちの見方が変わりそう。

「驚くべきは、すべてのページが木版画で描かれていること。スープの箇所は版木をしっとりさせ、パンの箇所は乾燥させて刷っているとか。よーく見ると、木目が! 大人は木版画の表現力にも注目すると、よりいっそう楽しめると思います」

『いろいろたまご』

作:山岡ひかる/出版社:くもん出版/「絵本ナビ」的オススメ年齢:2~3歳

こちらは、貼り絵で描かれた絵本! 主役は、たまごです。「たまごよ たまご なにに なる?」と呪文のような言葉からはじまって、混ぜたり茹でたりと、色んな方法でたまごたちが調理されていきます。

「できあがるのは、ゆでたまごや目玉焼き、オムレツなど。ひとつの食材がいろいろと姿を変え、味も食感も異なるメニューになる。そんな"料理のふしぎ"に子どもが気づくきっかけにもなるはずです」

『しろくまちゃんのほっとけーき』

作:わかやま けん/出版社:こぐま社/「絵本ナビ」的オススメ年齢:1~2歳

1972年発行、40年以上愛され続けてきたベストセラー本! しろくまちゃんが、お母さんのお手伝いをしながらホットケーキを作る物語です。

「しろくまちゃんは卵を落としちゃったり、小麦粉まみれになったり。でも、お手伝いが上手にできなくたって大丈夫。お母さんと一緒に、ちゃーんとホットケーキを完成させることができるんです」

一番の見どころは、ホットケーキが焼けていくシーンです。「どろどろ」状態から「ぷつぷつ」と表面に泡が出てきて、「ふくふく」とふくらんで......。この擬態語・擬音語が、なんともリアル。シンプルな絵なのに、甘~い香りが漂ってきそう!

「ホットケーキは、親子で作る最初の料理として人気。子どもが体験してから読んであげると、また違った感想が生まれるはず。しろくまちゃん、焼きあがったホットケーキはお友だちと一緒に食べるんですよ。"おいしい"を共有するよろこびも教えてくれる絵本です」

『くだもの』

作:平山和子/出版社:福音館書店/「絵本ナビ」的オススメ年齢:0~1歳

ツヤツヤだったり果汁たっぷりだったりと、本物そっくりに描かれたくだものの絵本。むく前のくだもの・食べる状態にカットしたくだものの両方が見開きに並んでいます。

「パパやママが『さあ どうぞ』と読み上げると、赤ちゃんが指でくだものをつまんでパクパク食べる仕草をする......との声がたくさん寄せられている絵本なんです」

この作品に限らず、絵本を見ながら食べるマネは子どもによくあること。「その姿に『食べることが好きなんだな』と、見ていてうれしくなります」と磯崎さん。

食べられない絵本の中だからこそ、子どもたちは「おいしいってなんだろう?」「食べるとは?」とふと思い、そのよろこびに気づくのかもしれません。この秋「おなかがすいちゃう絵本」を手に親子で食べるよろこびをかみしめませんか?

教えてくれた磯崎園子さんが編集長をつとめるサイト
「絵本ナビ」
https://www.ehonnavi.net

取材・文/花沢メイ 撮影/タベル編集部

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