「家族」と「食べる」を考える

タベル マガジン

「家族」と「食べる」を考える

タベルとは?

囲って、向き合って、楽しんで。
家族が笑顔で集まる場所「テーブル」で
美味しいお料理を「タベル」。
この日常の風景をもっと豊かにできるよう、
家族と食についての情報をたっぷり集めました。

高齢化の進む日本において、これからの鍵になる「シニアが働く環境」。年齢を重ねても、元気に働き続けたい方も多いのではないでしょうか。

そんな中、すかいらーくグループでは、パート・アルバイトの定年を70歳から75歳に引き上げました。長く働きたい"ベテランクルー"に対し、健康面や勤務時間などを考慮しながら、お仕事を続けてもらう環境づくりをしています。

この制度に喜びの声を上げた"お元気クルー"が、ガスト東武練馬駅前店のキッチンクルー・吉田嘉子さん(68)。勤続10年の吉田さんに、仕事の楽しさやエネルギッシュに働き続けられる秘訣を聞いてみました!

素敵な朝を届けたい。モーニングにかけるこだわり

――まずはガストで働くことになったきっかけを教えてください。

この店舗のオープン当初から働かせていただいています。当時は近所にファミレスがなくて、できたらいいな~と思っていたらちょうどガストがオープン。巡り合わせのようなものを感じて求人に応募して、クルーとして働きはじめました。

――現在はどんなお仕事をされているのでしょうか。

モーニングタイムのキッチンクルーとして、その日のガストのスタートを支えるお仕事をしています。お客さまにとって朝は忙しい時間帯で、開店と同時にいらっしゃる方も少なくありません。スピードを意識しつつ、素敵な朝を迎えられるようなお料理をお届けすることを心がけています。それと並行して、スープを作るなどのスタンバイ作業や、ランチの準備も行いますね。はじめは細かいルールがわからず苦労することもありましたが、やりながら一つひとつ覚えていきました。

――強いこだわりを持ってお仕事されているそうですね。

お客さまにお届けした瞬間に、「美味しそう!」と目を丸くしてもらえるお料理を目指しています。たとえばスクランブルエッグなら、赤ちゃんに触れるようなイメージで作っていて。卵を優しく扱いながら、ふんわり仕上げたいふんわり仕上げたい......って頭のなかで唱えています(笑)。

――こ、これは美味しそう! 見ているだけでトロトロの食感が思い浮かびます。

サラダはこんもりと盛りつけて高さを出し、表面に凹凸を作ることでおいしく見えるように意識しています。別のメニューだと、目玉焼きもお皿に対してまっすぐになるように、わずかな角度のズレにも気を配っていますね。些細なことかもしれないけれど、大事なことじゃないですか。この配慮をするとしないとでは、1日をスタートするお客さまの気持ちも変わってくると思いますから。

ガストで得た"シニアになってからの学び"

――こだわりを持って働けるのは、なにか理由があるのでしょうか。

おもてなしの姿勢は、ガストから学ばせてもらっています。たとえばモーニングの時間帯は常連さまが多いので、お好みのカスタマイズもあるんですよ。目玉焼きを両面焼きにしたり、トーストの焼き加減の指定があったり、ケチャップをソースに変えたいというお客さまもいらっしゃいます。

最初は「えっ?」ってびっくりしたんですけど、お店としてはそれも柔軟に対応する。チェーン店としての共通ルールはありますが、ガストにはお客さまに満足していただくための柔軟な取り組みはなるべくしようというポリシーがあるんです。

――チェーンでありながら、すべてを画一的にするわけではないと。

それで気づかされたんです。そもそも食は心を柔らかくするもので、お客さまに堅苦しい思いを押しつけるのは正しくないなって。私の頑固な考え方をしないで広い視点を持たなきゃいけないと思いました。

そんな理念があるからか、ガストの常連さまはいつもほのぼのとしていて、ファミリーのような雰囲気が漂っています。私は裏方のキッチンクルーですが、帰り際にお客さまと目が合って「おいしかったよ」と声をかけていただけることもあって。嬉しさでいっぱいになりますよ。言葉がなくても、料理やサービスを介して心を通わせているんだって実感できるんです。

――すごくやりがいを持って働いているんですね。

ガストで働いていると、お客さまに「安全安心でおいしいものを提供する」という理念が、自然と伝わってきます。メニュー開発から食材の配送、クルーの衛生管理、お店の掃除やメンテナンスまで、さまざまなセクションで突き詰められていますから。

私たちクルーにも、定期的に基本を振り返る機会があって、"慣れ"で仕事をしないように立ち返らせてくれます。厳しい部分もありますが、食は厳しくていいじゃないですか。

これだけお客さまへと真摯に向き合っている企業で働けるのは、とても幸せなこと。友達にどこで働いているのか聞かれて、「ガストだよ、今度食べにきてね!」って言えるのがうれしい。私自身がガストファンで、ガストラブなんです(笑)。

――自分が働いているお店にそう言えるのは素敵ですね! ちなみに、クルーの仲間たちにはどんな印象をお持ちでしょうか。

人間として温かい人たちが集まっている気がします。もちろん、仲間のミスが重なったときは、仕事として相手に合った方法で注意しますよ。とはいえ、自分だってミスはするし、お互いにフォローしたり許し合ったりすることが大切だと思っています。

不思議なことに私の周りのクルーたちは、その意識を全員が持ち合わせているんです。誰かを悪く言うこともなく、お互いに感謝やリスペクトをしながら接している。日々、貴重な職場だなって感じています。

さらに5年の"チャンス"をもらえた

――今回、70歳から75歳に定年が上がりました。どんな感想を持ちましたか?

最初に知った時はガッツポーズしました(笑)。もう少しで働けなくなることに、寂しさを覚えていましたから。私は家にいるだけだと、心や容姿を磨くことに無頓着になってしまう。でも、社会に貢献していると喜びや達成感、さらには責任も生じるので、自分を律することに繋がります。

これって誰かに指摘されることではなく、自分の意思でしか取り組めないことじゃないですか。私はそのチャンスをさらに5年、ガストにもらえた感覚なんです。実際に75歳まで元気に働けるかはわかりませんが、せっかくのチャンスを自分の力に変えていきたいと思っています。

もちろん、老後をゆっくり過ごしたい人もいらっしゃると思いますが......。私、変わっているのでしょうか?(笑)

――最後に同世代の方に向けて、メッセージをお願いします。

私たちの年齢でも、働ける力がある人は多いと思うんです。でも、今さら働くのは難しい、シワも増えたから人前には立ちたくないなど、消極的になっている声をよく聞きます。働きたくても一歩を踏み出せない方もいるかもしれません。

ネガティブなことだけに目を向けるのではなく、自分から幸せを作りにいくことが大切ではないでしょうか。仕事は生きがいになるし、日々にメリハリをつけてくれるので、趣味もより楽しいものになるはず。もちろん無理をしてはいけませんが、勇気を持って一歩を踏み出してみたら、いろんな世界が開けると思いますよ。

取材・文/佐藤宇紘 撮影/須賀翔平

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