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春は、抹茶を使ったスイーツ・ドリンクが充実する季節! 今年もいろいろな商品が登場していて、抹茶好きは目移りしそう。

抹茶が魅力的なのは、味だけにあらず。現在、海外では空前の抹茶ブームなんですって! 訪日外国人に茶道体験を提供している
「抹茶道--MAT-CHA-DOH−」の松月信江さんに、抹茶のスゴイところを教えていただきましょう。

<スゴイ①>もともと薬、今も"スーパーフード"として注目の的

-まずは基礎から教えてください。抹茶は、茶葉を石臼や微粉砕機で挽き、粉状にしたもの。ってことは、粉末の煎茶とどう違うんですか?

抹茶には「煎茶」ではなく「碾茶(てんちゃ)」が使われていています。どちらも同じ植物から採れる葉で、異なるのは栽培方法。煎茶は新芽から摘み取りまで、太陽の光を浴びて育ちます。一方、碾茶は覆いをして日光を遮った状態で育てられるんです。

「抹茶道--MAT-CHA-DOH−」を主催する松月信江さん

-手間ヒマかかってる! その方がおいしく育つということ......?

茶葉の旨味成分・テアニンは、日差しを浴びると苦味成分・カテキンに変化してしまう。なので、日光を遮って育てられた抹茶(碾茶)は煎茶より渋味が少なく、甘み・旨味がたっぷり! また、覆いをすることで茶葉に葉緑素が増し、鮮やかな緑色になるんです。

-栄養素としては、どんな成分が?

ビタミンA・C・Eや、カリウム・カルシウム・リンなどのミネラル、アミノ酸であるテアニン、ポリフェノールであるカテキン、ほかにもカフェインや食物繊維などが含まれています。なにより、粉にした茶葉をそのまま飲むので、これらの栄養素を丸ごととれるのが抹茶のスゴイところです。

-おおっ! 海外では"スーパーフード"と呼ばれているんですよね?

欧米やオーストラリアでは、フィットネスに勤しむような健康意識の高い人々がボトルに抹茶と水を入れて持ち歩き、シャカシャカ振って飲んでいます。

カテキンの抗ウィルス作用は広く知られていますが、カフェインには脂肪燃焼、テアニンとビタミン類には抗酸化作用が。さらに、クリアなボトルに入れるとグリーンでSNS映えするし、茶道=禅の世界ということも知られている。「ヘルシーでオシャレ!」と流行するのも納得ですよね。

-そういえば抹茶って、もともとは薬だったと聞きました!

お茶が生まれたのは、紀元前2700年頃の中国。平安時代に最澄・空海が遣唐使として持ち帰り、日本に伝わったんです。当時はお茶=薬。中国最古の薬物書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』にも効用が載っていますし、鎌倉時代に日本で書かれた『喫茶養生記』にも抹茶の記載があります。紀元前から現在まで、4700年以上にわたり"抹茶=ヘルシーな食材"として注目されているんですよ。

<スゴイ②>リラックス&集中力UP効果、コーヒーに勝る?!

-そうしたヘルスベネフィットのほかに、海外ではメンタル的なベネフィットも評価されているとか。

最近、ビジネスマンが昼夜問わず働く街・ニューヨークのブルックリンで、"MATCHA BAR"が大ヒット。抹茶にはカフェインが含まれています。カフェインには興奮作用があるので、集中力を高めたいときに好まれているようです。

-カフェインは、コーヒーにも含まれていますよね。コーヒーとの違いって、どこにあるんでしょう?

抹茶はカフェインに加え、テアニンも豊富。テアニンは、睡眠改善やストレス軽減など、リラックスに関わる成分。カフェインとテアニンの相乗効果で、リラックスしていながら意識が研ぎ澄まされるような、単なる興奮とは異なる状態が期待できるんです。

<すごい③>いまだレシピ増加中。進化が止まらない!

-ラテにスイーツに、天ぷらの抹茶塩......。抹茶が、甘辛問わず色んなメニューに使われるのは、なぜなんでしょうか?

抹茶に含まれるテアニンは、アミノ酸の一種で旨味成分です。だから抹茶ならではの風味がありつつも、旨味も加わって何にでもマッチしやすい。粉状で混ぜやすく色が鮮やかなのも、食材として好まれるポイントでしょう。そうそう、某有名メーカーのお茶漬けの素にも、抹茶が入っているんですよ。

それと抹茶の味って、ミルクやチョコレートにすごく合うんです。スイーツの素材として人気なのは、そうした相性も大きいでしょうね。

-今の世界的抹茶ブームは、すでに10年ほど続いているんですよね。

抹茶ブームは2000年代になってから。きっかけは、アメリカで大手カフェチェーンが抹茶メニューを展開したことだと言われています。その後、各国でいろいろなメニューが開発され、現在に至ります。鎌倉時代からあるのに、まだまだ使われ方・食され方が進化しているって驚きですよね。

<スゴイ④>海外人気の鍵は、苦味×甘みのハーモニーにあり

-抹茶のフレーバーが海外でウケた理由って、ズバリ何ですか?

先ほど旨味成分の話をしましたが、苦味&甘みを同時に味わえる点も人気の秘密。何でも、海外には苦味を楽しむ食材が日本ほどないとか。抹茶の味が新鮮に感じられるんでしょう。

余談ですが、茶道の茶席では抹茶を味わう前に、甘い干菓子などをいただきます。あれは、苦味のある抹茶をよりおいしく飲むために食べるんですよ。

-日本でもここ数年、スイーツやドリンクを中心に抹茶が盛り上がっていますね。「ガスト」でも、京都の老舗・辻利一本店の宇治抹茶を使ったデザートが期間限定で登場しています。 (2019年5月15日に終了)

おそらく、ヘルシーでオシャレという海外での盛り上がりを知って、日本でも抹茶が再評価されたのではないでしょうか。

<スゴイ⑤>茶道は日本的美意識の集大成! その中心に抹茶アリ

-抹茶を語るとき、欠かせないのが茶道。茶道についても教えてください!

茶道は、安土桃山時代に千利休によって確立されました。「抹茶道--MAT-CHA-DOH−」では訪日外国人に茶道体験を提供していますが、"茶道=禅の精神を体感できるもの"として、よろこばれているんですよ。

-茶道=禅の精神? どういうこと?!

「和敬静寂」という禅の言葉があるのですが、これは茶道の精神を表していて。「和・敬」は、お茶を点ててふるまう主人・いただく客、また客同士の関わり方を示します。例えば、隣の人より先に抹茶をいただく際、「お先に」と声をかけるのがマナー。茶室では身分関係なく、心の交流を重んじます。「静・寂」が示すのは、心と茶室のあり方。茶席で水を入れる音や、湯が沸く音などに耳を澄まして過ごすとき「静・寂」を感じますね。

-茶室では、器や床の間をほめたり......というイメージがあります。

利休は、いわば総合プロデューサー。当時、利休が「侘び寂び」が美しいといえば、それが新たな価値観として持てはやされたほど。茶道は、精神性・美意識の詰まった総合文化で、その中心に抹茶があります。

本格的な茶懐石では数時間かけて懐石料理をいただきますが、それも最後に出される抹茶を存分に味わうため。食事よりお茶がメインって、ちょっとスゴイですよね。

<スゴイ⑥>抹茶コスメで目指せ美肌! 美容界も熱視線

-味わうだけでなく、健康食として人気の抹茶。加えて、コスメ成分としても活用されているって、本当ですか?

国内では、抹茶の茶葉配合のクリームや石けんが販売されていますよね。海外では、より一層、抹茶成分の効能に着目したコスメが多い印象。抹茶のヘルシーパワーで環境汚染物質を洗浄したり、抗酸化力で肌質向上を目指す洗顔料や美容液・マスクが販売されていると聞きました。

抹茶は、飲む・食べるで内から、コスメで外から、茶道で所作や心までと、キレイになる要素たっぷりの素材と言えそうです。

<スゴイ⑦>1杯100円! リーズナブルに楽しめちゃう

-抹茶の魅力、理解しました! でもやっぱり......お高いんでしょう?

抹茶の価格は幅広いですが、1,500円出せばおいしい抹茶が30グラム購入できます。1,000円でも、そこそこの味のものが買えるはず。ティースプーン1杯3グラムとすると、スプーン1杯100~150円になる計算です。日常的に飲む時には、好みの量の水・湯で溶かせばOK。たった100円で抹茶の旨味が楽しめて、茶葉の健康成分が丸ごととれる。そう考えると、かなりお手頃。抹茶を、もっと身近なものに感じてくださいね。

教えてくれた松月信江さんが主催する訪日外国人向けサイト
「抹茶道--MAT-CHA-DOH−」
http://mat-cha-doh.com/

ガストの期間抹茶デザート
「辻利一本店の宇治抹茶使用 宇治抹茶のデザート」
https://www.skylark.co.jp/gusto/menu/dessert/index.html

取材・文/花沢メイ 撮影/須賀翔平

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