「家族」と「食べる」を考える

タベル マガジン

「家族」と「食べる」を考える

タベルとは?

囲って、向き合って、楽しんで。
家族が笑顔で集まる場所「テーブル」で
美味しいお料理を「タベル」。
この日常の風景をもっと豊かにできるよう、
家族と食についての情報をたっぷり集めました。

幼稚園のお迎えから公園遊び、家に帰っておやつを食べさせて、洗濯物もとりこんだ。
おでかけの準備は万端!「さあ、お買い物いくよー」と娘に声をかけたところで、怪しかった空が真っ暗に。今日1日くもり予報だったはずなのに、ぽつ、ぽつ、と雨が落ちてきて、ザーザーのけっこうな本降りになってきた。
......これじゃいつものママチャリ買い出しコースは無理だなあ。

「冷蔵庫からっぽだしね~、晩ごはんどうするの~?」なんて一人前に心配顔の娘のミノリをごまかしつつ小降りになるのを待っていたけど、全然やむ気配なし。
「残念だなあ、今日はね、パパとママが結婚した日なんだよね。パパ忙しいから忘れちゃってるかもしれないけどさ。何かおいしいもの作りたかったな」
「ママったら、だいじな日なのになんにもお買い物してなかったの?」とミノリ。
「ママね、パパをびっくりさせようと思ってたんだ。朝は冷蔵庫からっぽだったのに、夜においしいごちそうが出てきたら、パパすご~く驚くかなって」
ミノリが幼稚園に行っている間に家じゅうをピカピカに掃除して、午後から買い出しして料理して...なんて計画が裏目にでちゃったみたい。
そんな沈んだ気分の私をよそに、
「おいしいごちそう?ハンバーグかな。グラタンかな」とミノリは嬉しそう。
「ミノリ、ハンバーグ大好きだもんね。よし、パパが帰ってきたらお外でごはん食べに行こうか」

おなかもすいて来たし、がっかり気分を吹き飛ばしたくてそう言ってはみたものの、パパが帰ってからの外ごはんじゃ娘は食べながら眠たくなっちゃうし、これもムリかな。
仕方ない、寂しいけど、今夜は冷凍庫の残り物をチンかな......。
なんてあきらめたところへ夫からラインが!

「今外回り中。雨すごいけど買い物に行けた? 朝、冷蔵庫からっぽだったよね。買い物まだだったら晩メシ何か買っていくよ」
タイミング良すぎな我が夫。なんでか知らないけど、時々野生の勘が働くヤツなのだ。
もちろん、「お願い♡」と私。

やがて夫から「今駅前。ガストのテイクアウトサービスって知ってた? 何が食べたい?」とライン。
即レスで「...知ってる。一度試してみたいと思ってた」と返し、子どものハンバーグと、ワインに合うおつまみをいくつか、それにシメのお弁当までをリクエストして、娘をお風呂に入れながら待つこと30分......。

「ただいまー!あつあつのハンバーグお届け~」と帰宅した夫に、「私もあつあつ~♡」とお風呂を飛び出した娘。「パパ、サンタさんみたいだねぇ」とご機嫌で大きなテイクアウト袋を受け取って、ひとりで食卓へ運んでた。

「今日は助かったよ、雨で買い物行けなかったし。ありがとう!」と夫に感謝の気持ちを伝えつつ、いい匂いのするパックをひとつずつ開けていく私。
プチっといまにも弾けそうなソーセージのグリルにフレッシュなシーザーサラダ、彩り豊かなお弁当、あ~幸せ。
テーブルいっぱいに並べて三人でモリモリいただきながら、ちょっと気になっていたことを夫に聞いてみる。

「これってもしかして...、忘れてるふりしてたけど、やっぱり今日の記念日を覚えていたんじゃないの?」
「あれ?今日って、そうだっけ?」とやっぱり全然忘れているみたいだったけど、まあ細かいことは気にしない。
それよりそんな会話に娘が割りこんで「雨でお買い物行けないからかわいそうになって買ってきてくれたんでしょ? パパ気がきくね!すごーくおいしいよ☆」なんて言うので便乗してみた。
「じゃあこれから、雨の日はガストのテイクアウト、お願いしてもいい?」
「そうだな、ミノリがこんなに喜んでくれるなら...、いいよ!」
娘サマサマ、やっぱり夫も子どもの喜ぶ顔には弱いんだなあ。

...そんなことがあってから、我が家の定番になりつつある"雨の日テイクアウト"。
私はもちろんだけど、娘がいちばん楽しみにしていて、毎朝天気予報とにらめっこ。
登園前に、「今日はガストあるかな?」と、テレビに見入っている真剣な表情がかわいい今日この頃です。


文/伊波裕子 イラスト/おおたきょうこ

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